「自分はまだ大丈夫」
そう信じ込んでいた。 むしろ、そう信じることで、なんとか毎日をこなしていたのかもしれない。
眠りが浅くなったのはいつからだっただろうか。 夜中に2時間おきに目が覚める。 仕事中にうとうとする。 目が覚めても、さっき何をしていたのか思い出せない。 ろれつが回らない。指示が頭に入ってこない。
それでも「まだ頑張れる」「気のせい」と、自分を奮い立たせていた。
ある夜、眠っている最中に吐いた。 夢の中で気分が悪くなり、そのまま実際に嘔吐。 それすら「疲れてるのかな」と流していた。
──けれど、本当は、もう限界を超えていたのだ。
小さなサインを見逃し続けた日々
職場でのパワハラ。 理不尽な叱責。「報連相ができていない」「なぜこれがわからない」 繰り返される怒号。 心の中では何度も「それ、昨日言われてない…」と思いながら、口には出せなかった。
「甘えるな」「逃げるな」と言い聞かせた。 それが“社会人”だと、勝手に信じていた。
でも、徐々に自分が崩れていくのがわかった。 気づけば、職場でぼんやりする時間が増えた。 注意されても、言葉が出てこない。 そしてついに、上司の怒鳴り声に、声を荒げて返してしまった。
「いい加減にしろ!」
自分でも驚くほどの怒気だった。 何かがプツンと切れた音がした気がした。
診断──4つの病名が告げられた日

病院に行くと、医師は言った。 「このまま続けていたら倒れていましたよ」
渡された診断書には、こう記されていた。
- 適応障害
- 不眠症
- 無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
正直、受け止めきれなかった。 「自分がそんな病名をもらうなんて…」
でも、それが現実だった。
休職が決まり、2ヶ月間、何もせず、ただ眠ることから始めた。 それでも夜中に目が覚め、夢と現実の境目があいまいになる。
本当に怖いのは“気づけないこと”
今振り返れば、身体も心も、ちゃんとSOSを出していた。 でも、自分でそれを無視していた。気づかないふりをしていた。
「自分は大丈夫」「頑張りが足りないだけ」「弱音を吐くなんて情けない」 そう思い込んでいた。
でも、本当に怖いのは、
“限界に気づかず、自分を追い詰めてしまうこと”だ。
体調の変化は、突然ではない。 少しずつ、静かに進行する。 そして気づいたときには、もう自分では戻せないところまで来ていることもある。
今、伝えたいこと
私は運良く、家族に気づいてもらえた。 「おかしいよ」と言われなかったら、今も自分を責め続けていたかもしれない。
この体験から、はっきり言えることがある。
- 眠れないのは“疲れているから”ではないかもしれない
- 集中できないのは“気合が足りない”のではない
- 仕事がうまくいかないのは、“能力不足”とは限らない
心と体が限界を訴えているサインかもしれない。
だから、お願いしたい。 少しでも「いつもと違う」と感じたら、自分を疑ってほしい。 そして、自分を守る選択をしてほしい。
強さとは、我慢することじゃない。 本当の強さとは──
“限界を認めて、自分を休ませること”だ。
私はようやく、そう思えるようになった。
どうか、あなたはその前に気づいてほしい。
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